サクッとした歯触りとバターの香ばしい香り。素朴でシンプルな焼き菓子、クッキーやビスケットは長い歴史の中、世界中の人々に愛されてきました。海外の児童文学や映画のワンシーンにも登場し見る者の興味と食欲をそそります。ミニオンで有名な怪盗グルーの映画の中では、養護施設の少女たちがクッキーを売り歩きグルーと出会い、クッキーを利用して敵を倒します。童謡「不思議なポケット」ではビスケットがたくさん出てきますよね。「へンゼルとグレーテル」の中に登場するお菓子の家はビスケットなのでしょうか?
どちらも私たちに馴染み深い2つのお菓子の違いとは?
本質的にはクッキーとビスケットには特にこれといって大きな違いはありません。強いていえぱ、ビスケットは小麦粉が多く、バターが少なめのもの。クッキーは小麦粉の量に対して、比較的バターがたっぷりと含まれているものと考えられています。また、全く同じ材料で焼き上げたとしても、習慣的にアメリカではクッキー、ヨーロッパではビスケットという名で呼ぱれることが多いようです。その経緯とは…
クッキーの発祥地と語源
クッキーは「小さなお菓子」という意味のオランダ語「クーク」がその語源。北アメリカに移住したオランダ、ドイツ、イングランド人のグループが日々のおやつのこの焼き菓子をクッキーと呼んで普及させました。プロテスタント系のこの地域では母親がなんでも手作りすることが美徳とされホームメイド文化が主流でした。クッキーもまた母の味だったのでしょうね。それがアメリカ全土に広がり、今では世界中に名を馳せています。
ビスケットの由来や語源
ビスケットは「2度焼く」という意味のラテン語が語源。2度焼くことで中の水分をなくし、長期保存を可能にしました。保存食として登場したビスケットは元はお菓子ではなくパンでした。乾パンがそれで軍隊や航海の保存食として食されます。その後砂糖が普及し、焼き菓子ビスケットは瞬く間に人気を集めます。このようにヨーロッパ全土で古くから食されていて、バリエーションも豊かです。歴史的にはビスケットがすべての焼き菓子のルーツでクッキーはその派生のお菓子と言えましょうか。
日本の分類
全国ビスケット協会では「手作り風」で砂糖とバター(等の脂肪分)が40%以上の物を『クッキー』とし、40%以下が『ビスケット』とし区別しています。
まとめ
ビスケットは焼き菓子の元祖、レシピは豊富でスタイルもバリエーションに富んでいます。
クッキーのポイントはアメリカンマザーがそうしていたように「手作り風」。当時のお母さんたちが頑張ったおかげビスケットから独立し一つの食品としての地位を確立した努力型。見た目を重視する理由がわかるような気がします。
さてさて、「へンゼルとグレーテル」の中に登場するお菓子の家は、ドイツの焼き菓子レープクーヘンでできていたと言われます。レープクーヘンは、はちみつと小麦粉、ライ麦粉をこねたものに、シナモンやクローブなどのスパイスを利かせたビスケット。その名前は「生命の菓子」を意味し、昔は滋養の高い食べ物として保存食や非常食に用いられていました。今でもドイツやスイスではクリスマスの季節になると、レープクーへンで作った「へキセンハウス(魔女の家)」がお菓子屋さんのショーウィンドーを賑やかに飾ります。