みなさんの利き手や利き足は左右どちらでしょうか?おそらく多くの人が「右利き」と答え、左利きと答える方はおそらく少ないことでしょう。そのため、左利きの人は珍しがられたり、スポーツ選手のように左利きというだけで重宝されることもしばしばあります。
日本人における利き手や利き足を調査した統計データによると日本人の約80%以上、実に9割近くの人が右利きということが分かっており、左利きの少なさを数字が物語っています。あなたの周りにいる多くの人が右利きで逆に左利きの人は珍しいのではないでしょうか。
また、子育てに熱心で将来はスポーツ選手になるように教育している親であれば競技人口が少なく比較的有利に立てる「左利き」になるようにあえて教え込んだりする方もいらっしゃいます。
では、赤ちゃんや子供の利き手や利き足とはいつ決まるのでしょうか?利き側が決まる時期やタイミングなどを赤ちゃんの発達を参考にしながらご紹介しようと思います。また、利き目についても触れていますので合わせてご覧ください。
記事の内容
利き手はいつ決まるのか?
子供の利き手がいつ決まるのかという疑問については、すでに明らかになっており遅くても8歳までには利き手が決定するようです。8歳と聞くと思ったよりも遅いと思うかもしれませんね。子供の利き手が決定するまでは「左利き」「両利き」「右利き」の時期があり、これらを繰り返しながら最終的な利き手が決定するようです。
では、生後間もない赤ちゃんの時期から利き手を観察していくとどのように変化するのでしょうか。育った環境やしつけなどの影響も利き手決定に関与するため、そのようなコントロールされていない子供の場合はどのように利き手が決まるのか赤ちゃんの時期から発達順に利き手を追った研究結果が参考になります。
1947年に発表されたGesell & Amesによる赤ちゃんの利き手の発達
- 16週〜20週:片手だけの接触、左使用の傾向。
- 24週:明確な両手利き。
- 28週:片手へ移行、しばしば右手使用。
- 32週:両手利きに再び移行。
- 36週:両手利きが消失し、片手利きが出現。行動が「右あるいは左」に特徴づけられるが、左が優位。
- 40週〜44週:行動が「右か左」の片手使用。 主として右優位。
- 48週:あるものは一時的に、また多くは 右手を使うのと同じように左手を最終的に使う。片手利き。
- 52週〜56週:明確な右利きへ移行。
- 80週:明確な片手利きから、より著しく交替のある混乱への移行。 多くは両手使用で左優位。
- 2歳:比較的明確な右手の片手使用。
- 2歳半〜3歳半:明確な両手利きへの移行。
- 4歳〜6歳:片手利き、右優位。
- 7歳:左手または両手が使われる最後の時期。
- 8歳:再び、右利き。
年齢により赤ちゃん・子供の利き手は器用に切り替わる!
上記のように利き手が決まるまでの子供や赤ちゃんは左右あるいは両方の手を使う時期があり、運動発達により上手く適応しながら利き手を切り替えていることが分かります。なぜ利き手が切り替わるのかということに関してもいくつかの報告があるようで、「独歩ができる前まではハイハイや四つ這い移動が主となりその時期は利き手が切り替わりやすい」ことや「バイバイなど言語に対して反応する動作は左半球優位で右利きとなりやすい」など他にも「片手で床を支持する手は空間認知に関与する右半球優位で左利きになる」など脳や運動発達などが利き手決定に影響しているという面白い研究結果も出ています。
我が子は右利きor左利き?
日本人の9割近くの人が右利きですが、もちろんすべての人が同じように経過するわけではありませんが、我が子の利き手を注意深く観察してみると何か発見できたり月齢によって利き手が変わっていることに気づくことができるかもしれません。
もちろん小さな時期からスプーンを左手で持たせるなど親の刷り込みによっても利き手は変化するのですが、子供がどちらの手で物を持ったりつかんだりすることを好むのか選ばせてみても良いかもしれませんね。
利き足が決まる時期はいつ?
利き足の場合は利き手のような詳しい研究は少ないようで、利き手に関する発達ほど明らかにはなっていないようです。分かっていることは利き手が決定する時期よりも利き足が決まる時期が遅く8歳〜11歳で決まるとされているようです。
発達の過程から見てみても脳に近い部位から発達が進んでいくため足の運動発達は比較的遅いようで多くは両利きの時期が長いようですね。首が座わる→手で支え上体を起こす→ハイハイ→つかまり立ち→一人歩きができるようになるわけですが、足に比べて手の方が早い段階から使い始めることも影響しているのでしょう。
利き目・利き耳はどうやって決定されるのか?
利き目や利き耳も利き手や利き足と同様で右利きが多いことが分かっています。しかし、利き手や利き足ほど右利きの割合が多いわけではなく「目で見る」「音を聞く」といった感覚系の器官の発達は手足のような運動器の発達とは異なることが1つの理由のようです。
利き目や利き耳に関しては左利きや両利きの人の割合も多いのですが、これらがいつどのうようにして決まるのかはまだ明らかになっていないようです。感覚系は情報処理などもしかすると脳の発達や利き脳と関連するのかもしれませんね。
「利き」が決まる条件や要因とは
ところで「利き」はどのように決まるのでしょうか。発達の過程と利きの決定に関して述べてきましたが、実際に成人になってから利き手交換を行った方や利き手交換を余儀なくされた方などもいらっしゃると思います。
筆者自身もスポーツ動作における利き手交換を中学生の時に行っており、また箸を持つ手も右手から左手で持つための利き手交換トレーニングを行った経験があります。結果としては利き手交換する前のもう片方の手よりも今では使いやすいと感じるほどまでに今では馴染んでいます。
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そこで思うことは見た目の利き手は比較的簡単に交換できるということです。潜在的に持って生まれた利き手などもあるようですが、獲得したい動作を繰り返し反復練習することで脳はその使い方を徐々に覚えてくれます。
苦手なスポーツも繰り返し練習しているといつの間にかできるようになるのと同じで、はじめは筋肉の使い方や動かし方がわからずぎこちなくなってしまいがちですが、反復することで筋・神経の伝達がよりスムーズになっていくことがパフォーマンス向上の一因です。利き手交換に関しても同じことが言えて、すでに獲得している利きを変換したり交換ができる以上は生活環境や学習によっても利き手が決定することが分かります。
大人よりも柔軟な適応能力を持つ子供であれば、なおさら親の育て方が利き手決定に影響することでしょう。今まであまり注目していなかった子供の「利き」にも少し目を向けてみてはいかがでしょうか。