「あら、なんだか尿が赤い!?」「早めに生理が来たのかな・・・」などの経験をしたことがある女性は多いのではないでしょうか。女性の場合は血尿が出ても、月経血と勘違いしてしまうことが多く、隠れた疾患を見逃してしまう可能性が高くなります。
このような疾患の見逃しを防ぐには、やはり検診等での尿検査が大切になってきますが、「見えない」血尿の原因とは一体何なのでしょうか。
今回は、女性の尿潜血について、その原因や隠れた疾患をご紹介します。
記事の内容
「見える」血尿と「見えない」血尿の違い
血尿とは、その名の通り血が混じった尿のことですが、この色は赤血球の色で、赤血球がどの程度混ざっているかによって、その色の具合は変わってきます。血の色が目で見て分かる程度の尿は『肉眼的血尿』と呼ばれます。
しかし、見た目は普通の尿の色でも血が混ざっていることはあります。これがいわゆる『尿潜血陽性(顕微鏡的血尿)』と呼ばれる状態です。
「見える」血尿と「見えない」血尿の違いは、尿に混じっている血の量が多いか少ないかということなのです。
関連記事:「血尿が出た時の対処法と予防法!ストレスや疲れも血尿の原因に!?」
「見えない」血尿の原因は?
見える血尿も見えない血尿も、その違いは混ざっている血の量なので、基本的にはその原因疾患は同じです。尿潜血陽性反応が出た場合に疑われる疾患には次のようなものが挙げられます。
尿路結石症(にょうろけっせきしょう)
尿路結石症は、尿路、(腎臓→尿管→膀胱→尿道)のどこかに結石が引っかかってしまう症状です。この結石が引っかかることで内側の粘膜が傷つけられて出血し、血尿として排出されます。
結石が引っかかる場所によって、腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石と症状の名前は変わりますが、基本的な症状のプロセスは同じで、元の結石は腎臓で形成されることがほとんどです。
結石の大きさは様々で、数mmから数cmに及ぶものもあります。
ナットクラッカー現象(くるみ割り現象)
左腎にある静脈が腹部の大動脈ともう一つの大きい動脈に挟まれて、圧迫される現象です。これによって左腎静脈の血圧が上昇し、血尿が出るというわけです。
たいていの場合、自然に治るので特に処置の必要はありません。
良性家族性血尿
遺伝による症状で、生まれつき腎臓にある糸球体基底膜と呼ばれる膜が薄い人は、血尿が出ることがあります。
重篤な状態になることは少ない症状です。
『尿潜血陽性』と言われた!でも本当に陽性?
男性と比べて女性の場合、尿潜血陽性の結果が出やすくなっています。これは、月経前後の尿を採ることで血が混じりやすくなるからです。
また、尿潜血陽性になるもう1つの原因としては、激しい運動をした後や過度の疲労の蓄積などにより起こる、生理現象としての血尿もあります。これは異常ではなく、健康な成人に起こることなので心配はあまりありません。
そのため、「尿潜血陽性!」という結果が出ても、必ずしも疾患が隠れているというわけではありません。
このように、紛らわしい陽性反応が出ることがあるので、尿潜血陽性が出た場合、二次検査を行うなどしてさらに精査することが普通です。
また、「陽性反応が出たが今の所顕著な疾患は無い」と診断された場合であっても、腎臓や膀胱などで異常が起きている可能性はあります。そのため、一度、尿潜血陽性と出たら、定期的に尿検査を受けることをオススメします。
関連記事:「女性の血尿が出る3つの原因と病気とは?痛みの有無や症状で注意すべきことについて」
陽性が出てもまずは大丈夫!でも慎重に。
女性の尿潜血陽性は、ほとんどが偽陽性(本当は陰性なのに月経血などが混じることで陽性になること)です。そのため、陽性の結果が出ても焦ることはありません。
しかし、尿路結石症や膀胱炎、膀胱癌などの初期症状である可能性もあります。このような疾患は初期に発覚すれば、治療も比較的楽に行えますし、予後も良好なことが多いです。
陽性が出たら、再検査を受けてさらに精密に調べてもらうようにしましょう。必要以上に不安になることはありませんが、慎重に結果を受け止めてくださいね。