疲労骨折とは?原因・症状と部位・競技別にみた種類と疲労骨折について簡易解説

男女問わずスポーツ選手に発生しやすい疲労骨折はなぜ起きるのでしょうか。スポーツ種目の違いによっても起こしやすい疲労骨折の種類は様々です。

今回は「疲労骨折とはどんな骨折で何が原因になるのか」について様々な観点から、現在分かっている知見をまとめてその症状や発生率などをご紹介します。

疲労骨折とは

疲労骨折は英語で「Stress fracture」と表記されますが、同じ意味を持つ同義語に「Fatigue fracture」「Insufficiency fracture」などといった表記もあります。

また疲労骨折とはどのような病態なのか調べてみると以下のような記述が散見されます。

繰り返し緊張を加えることによって生じる骨折で、筋肉疲労と骨の破断の相乗によって生じると考えられ、骨のリモデリングが修復を上回った状態

 

健康な骨に通常は骨折を起こさない程度の負荷が繰り返し加わった場合に生じる骨折

走る・蹴る・投げるなど競技によっては頻回に行われる動作がありますが、どの動作を行った場合でもストレスが集中しやすく怪我をしやすい部位が存在します。野球やテニスに代表される野球肩やテニス肘などはオーバーユース症候群(使い過ぎ症候群)の1つとして認識されていますが、疲労骨折もそれに近く、骨のある部位に繰り返し小さな外力が加わり続けることによって骨にヒビが入ったり折れたりすると認識されています。

 

疲労骨折の原因と発生メカニズム

疲労骨折を知る上でその原因と発生メカニズムについて理解しておくことは予防の観点からもとても重要です。これまでに疲労骨折はなぜ発生するのかについて様々な研究が進められてきましたが、研究者によって支持される原因説にはばらつきがあり現在も研究が進められているというのが現状です。

共通して言えることは定義にもある通り、「1回では骨折しないほどの微力な外力が繰り返し何度も加わった時に疲労骨折を招く」という見解です。

しかし、この微力な外力が繰り返し加わることでなぜ骨折に至るのかについては様々な観点から研究が今も進められています。例えば、「骨というのは絶えず骨破壊と骨再生が起きており、この造骨細胞による骨生成よりも外力による微細損傷が上回った状態が続くと結果として骨折する」「エネルギー摂取量より消費量が高い状態だと骨折しやすい」など色々と発生原因については議論されています。他にも女性アスリートの場合は無月経と骨粗鬆症・摂食問題(栄養)が指摘され、他にも性別、年齢、骨代謝、競技環境などによる因子が問題として挙がっています。

細胞学や栄養学、バイオメカニクス学的などのあらゆる視点から原因を解明すべく研究は進んでいるので、今後の新しい知見が発表されることに期待しましょう。

 

疲労骨折の種類

まず疲労骨折には何種類の骨折があると思いますか?人体には無数の骨が存在しているため、どの骨でも疲労骨折が起きる可能性があることを理解しておく必要はあります。その中でもスポーツ種目によっては競技特性上どうしても起きやすい部位や疲労骨折が頻発する骨というのが統計上明らかになってきているものもあります。

まず、実際に医師からの症例報告や研究などで確認されている疲労骨折の種類を部位別に以下に列挙します。

上肢の疲労骨折

  • 上腕骨疲労骨折
  • 肘頭疲労骨折
  • 橈骨疲労骨折
  • 尺骨疲労骨折
  • 手舟状骨疲労骨折
  • 中手骨疲労骨折

体幹の疲労骨折

  • 肋骨
  • 脊椎疲労骨折
  • 骨盤疲労骨折

下肢の疲労骨折

  • 大腿骨疲労骨折
  • 膝蓋骨疲労骨折
  • 脛骨疲労骨折
  • 腓骨疲労骨折
  • 足舟状骨疲労骨折
  • 中足骨疲労骨折
  • 拇趾基節骨疲労骨折

ここに列挙しただけでも16種類の疲労骨折が確認できますが、詳しく見ていくと中足骨は第1〜第5まであったり、脛骨は骨幹部骨折と内果部骨折などとさらに細分化できます。上記では部位と骨別に見た時に発生しやすい疲労骨折の種類を列挙しています。

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統計上よく発生する疲労骨折

ではそれぞれの疲労骨折の中でも最も発生頻度が高く、病院の臨床やスポーツ現場でも目にする機会が多い疲労骨折についてまとめます。

  • 第1位:脛骨
  • 第2位:中足骨
  • 第3位:腓骨
  • 第4位:大腿骨
  • 第5位:恥骨・坐骨

ある医療機関で疲労骨折と診断された症例の統計を参考にすると上記の順番に疲労骨折が多いことが分かりました。特に脛骨と中足骨の骨折で疲労骨折の全体の6割以上を占めているというデータが多いようです。

もっとも受傷頻度が多い脛骨の疲労骨折は骨折部位別に幾つかのタイプに分かれ、その詳細を見てみると脛骨の遠位骨幹端の脛骨疾走型疲労骨折、脛骨の骨幹部中央の脛骨跳躍型骨折が圧倒的に多いというデータが出ています。

また2番目に多い中足骨の疲労骨折ですが、もっとも受傷頻度が高いのが第3中足骨で、次に第2中足骨、第4第5中足骨の順に発生件数が多いようです。特に第5中足骨の疲労骨折は別名ジョーンズ骨折(Jones骨折)とも呼ばれその他の中足骨骨折と病態が異なり臨床的にも区別する必要があります。他の中足骨骨折と比較した時に解剖学的構造から難治生の疲労骨折として扱われ適切な治療または手術が必要なケースもあるのでスポーツ選手は特に注意すべき疲労骨折の1つとなります。

 

スポーツ種目別に見る疲労骨折発生部位

では次に疲労骨折別に発生しやすいスポーツ種目の種類について見ていきましょう。自分が行っている競技ではどのような疲労骨折リスクがあるのかの参考にもなるはずです。(統計データ元:財団法人スポーツ医・科学研究所スポーツ整形外科)

疲労骨折部位 スポーツ種目
第1肋骨 ウエイトリフティング・野球・剣道・柔道・チアリーディング・新体操
第4〜第7肋骨 ゴルフ・野球・柔道・バレーボール
第2中手骨 テニス・バドミントン・ハンドボール
有鈎骨 野球・剣道・ゴルフ・テニス・バドミントン
尺骨 ソフトボール・剣道・チアリーディング・野球・バレーボール
肘頭 野球・テニス・体操・陸上投擲・柔道
仙骨 陸上長距離・ラグビー
恥骨・坐骨 陸上長距離・バスケットボール・ハンドボール
大腿骨 陸上長距離・バスケットボール・ラグビー・サッカー・野球
膝蓋骨 バスケットボール・ハンドボール・バレーボール・サッカー・バドミントン
脛骨疾走型 陸上中距離・バスケットボール・ハンドボール・バレーボール・サッカー・野球
脛骨跳躍型 バスケットボール・ハンドボール・バレーボール・クラシックバレエ
脛骨内顆 ジョギング・陸上中長距離・フィギュアスケート・バスケットボール
腓骨 陸上中長距離・バスケットボール・サッカー・野球・ラグビー
足関節内果 サッカー・バスケットボール・陸上短距離・跳躍・ハンドボール
足舟状骨 陸上短中長距離・バスケットボール・ラグビー・野球
第2〜4中足骨 陸上中長距離・バスケットボール・サッカー・ラグビー・クラシックバレエ・
第5中足骨 サッカー・バスケットボール・ラグビー・ハンドボール・バレーボール
拇趾基節骨 陸上短距離・バスケットボール・ラグビー・剣道・バレーボール

野球の投球動作やゴルフやテニスのスイング動作などに代表される上肢の運動を伴うスポーツの場合はやはり上肢関連の疲労骨折が目立つ傾向にあり、走行や長時間のランニング動作が主となる陸上中長距離やサッカー・バスケットボールなどは下肢関連の疲労骨折が目立ちますね。

 

疲労骨折が起きやすいスポーツ種目

では、スポーツ種目別で疲労骨折の発生率をみた時はどのスポーツでの頻度が高いのでしょうか。他のスポーツと比較しても群を抜いて発生率が高いスポーツ種目が陸上競技となっており、過去の統計データや各医療機関を受診する疲労骨折患者の競技種目データなどからも陸上選手に圧倒的に多いということが分かっています。

その他のスポーツ種目では競技人口の差により疲労骨折の発生件数は違っても、スポーツ種目別の受診者のうちおおよそ2〜4%が疲労骨折患者であり陸上競技以外でのスポーツ種目間の差はそれほどないということが分かります。

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疲労骨折と性別差(男女比)

女性アスリートの疲労骨折にはしばし3主徴(無月経・摂食障害・骨粗鬆症)が問題になりますが、実際に疲労骨折の男女差を見てみると男女差はそれほどなく各年代で男女共に同じ割合で発生しているようです。

以下に、年齢と疲労骨折の関係性についても記述します。

 

疲労骨折と年齢の関係性

疲労骨折は若いスポーツ選手に多い怪我だと思いがちですが、実はどの年代・年齢でも疲労骨折は起きる可能性があります。特に疲労骨折が多い年代は15〜17歳であり16歳が最多となっており、それ以外の年代でも2〜4%の発生率が確認されています。

15〜17歳というと高校生にあたる時期ですが、その要因の1つに中学校から進学し部活の運動強度や運動量が増えること、高校2年生となるとチームの主力選手になりさらに身体に負荷がかかりやすい環境になることが多いからとの見方もあります。

20代以降の分布を見てみても各年代で疲労骨折は発生しており、高齢者でもスポーツ愛好家の方を中心に発生が確認されているためどの年代でも起きうることを理解しておく必要があります。

 

疲労骨折に関するまとめ

スポーツ種目によって「走る」「ジャンプ」「切り返し・ターン」「スローイング」など頻繁に繰り返される動きは異なりますが、絶えず骨にはストレスが加わり続けていることを理解しましょう。予防するという意味では十分な休養と睡眠、十分な食事量、練習量の調整なども実は重要であったりします。

疲労骨折を起こしてしまうのは本人だけでなく、周りの家族やスポーツチームの監督・コーチ・トレーナーの配慮不足などでも起きうるので定期的なメディカルチェックや選手の体調や様子などを注意深く観察することも重要です。

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