お盆のお供え物と聞くと思い浮かぶものは何ですか?蓮の形をした薄ピンクと緑の蓮の形の落雁?きゅうりのウマとなすのウシの精霊馬もそうなんです。お花やお菓子、果物、詳しい方はお団子も思い浮かぶかもしれませんね。お供えに欠かせないお盆ののしの意味についても触れていきます。ぼんやりしているお供え物のイメージを改めて整理して、お盆の準備に備えるお手伝いが出来たらと思います。年々猛暑日が増え、暑さも厳しい盛り、食べ物については十分に注意を払いながら対応をしたいところです。お供え物の種類と意味を併せてみていきましょう。
(画像引用元:http://otera.net/)
記事の内容
お盆のお供え物について
昔から四足のもの (仏式の場合) は避けるように、との言われがありましたが、
今では故人の好んだものをお供えすればよいといわれています。
※地域によって異なります。
ただし時節柄、長時間のお供えやお好みであっても、生ものは避けます。
下げたお供えは縁起物として、家族で分け合っていただきましょう。
お盆の基礎知識は⇨「初盆/新盆/旧盆とはいつからいつまで?お盆の時期は地域で違う!」
お供え物の基本は「五供 (ごく) 」
◎ 「香」は、線香の香り。悟りを開くために必要と言われます。
◎ 「明かり」は、ロウソクの火。仏壇を明るく照らします。
◎ 「花」は、故人の好んだ花。とげ・つるのある花、香りの強い花は避けます。
◎ 「水」は、毎日新鮮な水をお供えします。
◎ 「食べ物」日常口にしている食品。封をしてある食品等は開封しすぐ食べられる状態に。
お盆の時期に限りませんが、良くないといわれることや、こんな意味があることも。
線香→仏さまの食べ物、という地域も。何よりのご供養になるのだそうです。
線香・ロウソクの火ともに、息を吹きかけて消すのは絶対にダメ。
線香は手で扇ぐ等地域や宗派によって方法が異なります。
ロウソクは手で扇ぐか、専用の火消しで消します。

引用元:http://www.kyukyodo.co.jp/
水は、お供えする人の心を清める意味もあるともいいます。
お供え専用の水がありましたが、現在は水道水でかまいません。

仏壇用 湯呑み 陶器製 お茶 お水 お供え用 陶器製 直径5.5cm
食べ物は、すぐに食べられる状態でお供えします。
素麺などの乾麺は茹でてめんつゆも添えます。
あたたかい食べ物の場合は、湯気が消えたら仏さまも召し上がった頃合い、
ということですので下げます。冷たい場合にも目安にするとわかりやすいですね。
野菜・果物のお供え物・一覧
【 果物のお供え物 】
◎ 丸いもの、がよいとされます。
昔、冷蔵保存の出来なかった頃は、井戸水で冷やせるスイカ等が喜ばれました。
すいか | メロン | 桃 | ミカン類 |
ぶどう | パイナップル | スモモ | りんご |
切らずにそのままお供えします。
下げてからみんなで戴くときに、切ったものを改めてお供えしてもいいですね。

お盆 お供え用詰め合わせ平籠フルーツセット (※詰め合わせ内容変更の場合あり)
【 野菜のお供え物 】
◎ 精霊馬 (迎え火と送り火時にも使用します)
夏野菜である、きゅうりのウマと、なすのウシのこと。
乗り物として使用しながら仏さまがいらっしゃるので、新鮮な野菜を選びましょう!
作り方は簡単。割り箸を足にしてバランスよく立つように野菜にさすだけ。
きゅうりのウマのしっぽにトウモロコシのひげを刺す地域もあります。
◎ 足の速い馬にのってきていただき、ゆっくり歩く牛で帰っていただく
(名残惜しい、帰りは景色を楽しみながらゆっくり進んでいただきたい)
◎ 仏さまが馬に、荷物を牛に載せて往復される
などの想いやいわれが込められています。
団子・菓子のお供え物・一覧
【 団子のお供え物 】
お盆期間中、日替わりで異なる団子をお供えしていましたが、
近年では同じ団子をお供えすることが増えています。
名称 | 団子の種類 | |
お盆の入り | お迎え団子 | 白玉団子・あん団子・みたらしだれの団子・きな粉まぶしの団子等 |
お盆の中日 | おちつき団子 | おはぎ |
お盆の明け | 送り団子 | 白玉団子 |
お盆期間中お供えできる、白玉団子がパック詰めされた状態もあります。
手作りして積み上げるとこのような形になります。

引用元:http://metyaomo.asia/ おだんごレシピ
【 菓子のお供え物 】
白・緑のお菓子ならば最適といわれましたが、
少しずつこだわりは減りつつあります。しかし派手な色のものはNGです。
お供えした後に分け合うことを考え、小分けできるお菓子が喜ばれます。
個包装のおせんべいやクッキーも種類が充実しています。
日持ちのするものを選びます。
落雁 | クッキー | ゼリー | 最中 | サブレ |
羊羹 | せんべい | お饅頭 | 金平糖 | マドレーヌ |
落雁は昔ながらのものだけでなく、色や形を変えて様々な種類が店頭に並んでいます。

様々なお菓子が増えている中、それでも「蓮の形をしたお盆の落雁」が
残るのには、意味があるようです。
「初盆・新盆・旧盆」の記事でも触れましたが、お釈迦様の弟子の一人、
目連損者(千里眼力をもつ)が、餓鬼道で苦しむ母を見つけ救い出したい思いから、
お釈迦様の教えによって、修行を終えた僧を手厚くもてなし続けることで、
母は召天することが出来た、ということから、自恣日(じしにち)・旧7月15日は
百味飲食 (ひゃくみのおんじき) :美味しい食べ物を多くの方に分け与える日に。
自分達だけ良ければよいという考えは捨て、多くの人々のために行動するという考え方。
自恣日に振る舞われる中では甘味のある食べ物が喜ばれ、落雁で型どられた蓮は
極楽浄土の象徴であり、現在のお盆の時期に多く見られる落雁の形となりました。
甘いものは疲れも取りますが、日持ちもしやすい利点があります。
お盆の後に残ってしまう…という時は「砂糖」と考えて、調理へ!
※とろみが出ることがあるので、注意してください!!
良く砕いてから使用すると扱いやすくなります。
煮物やスープなどの汁物、生姜湯などにおすすめします。
花のお供え物・のしの意味は?
【 花のお供え物 】
色と香りの落ち着いた種類を選びます。
新盆・新盆の場合は白や淡い色を基調としたほうが良いともされますが、
地域によって異なりますので、事前の確認をおすすめします。
菊 (白・黄) | 蓮 | 白ユリ (おしべを取り除いた状態に) | トルコキキョウ | 胡蝶蘭 |
スプレーマム | かすみ草 | シンビジウム | デンファレ |
生花店でも相談に乗ってくれるので、地域の情報をもっていくとよいです!
蓮は仏さまがあの世へお帰りになる時に蓮の花びらに乗っていくとの
いわれから、お盆にはガクのある花をお供えします。
蓮の実の部分 (はちす)は、避けましょう。
奥の茶色い部分・手前の花の中央黄色い部分がはちす。
黄緑色の状態で売っていることも多いですね。

【 お盆で使うのしについて 】
お供えの品が決まったら、次は「のし」ですね。
しかし、正しくは使用するのはのしではなく懸け紙なのです。
慶事は熨斗、弔事は懸け紙、を使用するためです。
お店では「お供えのかけがみをつけて下さい」とお願いすれば大丈夫。
水引は「結び切り」(一度きりの意味を込めて)を使用します。
「御供 ( お供え物の意 )」とするのが一般的なようです。
仏さまに対し、「○○がこの品をお持ちしました」とご報告する意味もあります。
同時にご家族が把握できるという大切な役割も…。
受け取る立場として考えると、とても必要なことでありますね。
結婚後の初帰省時にはお供え物の品の内容も義父母さまにご相談しましょう。
地方ごとの習わし等についても一緒に教えていただいちゃいましょう!
詳細については【お盆のお供え物・熨斗の表書き】でご紹介しています。
覚えておきたい作法としては、お供え物は仏さまへの贈り物と考え、
玄関先でお渡ししたり、ご家族へお渡しするのではなくご仏壇へ。
紙袋に入っている場合は、中身を出して品物の下に紙袋を敷き、
名前が手前に来るようにしてお供えします。
風呂敷の場合は、中身を出し風呂敷は素早くたたみ片づけて品物をお供えします。
これは、おおむね全国共通の立ち居振る舞いと言えます。
この後、お線香をあげさせていただきます。
画像は関西地方の、水切りの色味です。

お盆のお供え物について詳しくなったら!
故人を思う切ない思いや、支えにしながら日々を大切にするという思いを新たにする、
そんな機会になるお盆。縁者が多く集まり、昔話に花を咲かせれば、仏さまも耳を傾け、
一緒に楽しんでくださっているかもしれません。
慌ただしい世の中だからこそ、昔ながらの行事、お盆を大切にしたいですね。
そんな風にお盆をとらえることができたら、幸いです。
コメントを残す